一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
『モノがなくて驚いたでしょう?この部屋、昔母と住んでいたアパートと似ていたんです。それで帰国してから住み始めました。あの頃と違いお金にも余裕があってあの頃と違い自由なのに、、どうしても広い部屋は落ち着かないんですよ。』
目を伏せて笑う彼が泣いているように見えて、こちらの方が泣きそうになってしまう。
そのくらい彼にとって悲しい過去なのだろう。
本当に真実を聞いてもいいのかと自問自答を繰り返すが、彼が意を決して連れてきてくれた覚悟を汲んで恐る恐る真実を訪ねる。
「あの頃って、、?」
そう声を掛けるとゆっくりと視線が交り、優しく手を引かれベットの縁に座るように促された。
ベットの縁に座ると彼も隣に座った。
『どこから話しましょうか。いざ話すとなるとやはり緊張しますね。、、まず最初に謝らせて下さい。紗江さんには嘘をついていたようなものですから。、、、本当にすみません。実は両親はいません。』
「え?だからあの時会わせないって、、?会わせないじゃなくて会わせる人が居ないって事だったの、、?私ってば勘違いして!?」