一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
お風呂を入っている綾ちゃんの代わりにリビングで亜美ちゃんを抱いて寝かしつけている慎一に声を掛ける。
「じゃあ今日は帰るね。また明日来るから。」
「姉貴も忙しいのにごめん。本当に助かるわ。」
そう言葉を交わしたのに、リビングを出ても玄関まで見送りについて来た慎一は、何か言いたげな表情を浮かべている。
靴を履き終え仕方なく振り返る。
「どうしたの?何か買い忘れ?明日で良ければ帰りに買って来るよ。」
そう声を掛けても渋い表情を浮かべるだけで、黙りこんでしまう慎一。
そんな姿をじっと見つめると、観念したようにボソボソと呟く。
「あのさ、、あいつらも言ってたけど姉貴、料理の腕上げたよな。それってやっぱり作る相手がいるって事だよな、、?彼氏、出来たんだ?」
「、、、、ん?」
あまりにも予想していなかった言葉に驚いてしまう。
しかも何故そんなに表情を歪めているのか理解出来ない。
仮にも姉弟の中で1番年上の私に彼氏が出来たなら、寧ろ喜ぶ所じゃないのだろうか。