一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
靴に足を通そうとした瞬間、強い力で手首を掴まれリビングへと無言で引きずり戻される。
そうしたのは勿論彼で、そのままベットへと放り投げられた。
あまりの勢いにベットスプリングに何度も身体が打ち付けられ視界が定まらない。
揺れる視界の中、彼が冷たい表情をしているのだけは分かって、そんな表情を見たくなくて手で顔を覆って叫んだ。
「っ、、、ごめんなさい!!!」
『それは何に対しての謝罪ですか?』
低く地を這うような低い声に身体が震える。
それでもこれ以上嫌われたくなくて、必死に答えた。
「私がっ、、はしたない格好してたから、、幻滅したんだよね、、?」
『、、、。』
その無言が肯定だと分かって頭が真っ白になる。
「、っ、、、ねがい、、暁人くんっ、、っ嫌いにならないでっ、、。」
こんな風に誰かに懇願した事なんてない。
別れ話を切り出されても、どこか冷静な私がいた。
最後くらい〝イイオンナ〟に思われたくて駄々を捏ねる事もなく聞き分け良く別れ話を受け入れていた。
それなのに彼と居ると自分でも知らない自分が顔を出す。