一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
彼は押さえつけていた手首を解放すると、着ていた服を脱いで上半身が露わになる。
一度だけ肌を合わせた時は暗闇の中で、こんな風に明るい中で素肌を見るのは初めてだ。
無駄な贅肉のない綺麗に割れた腹筋に手を伸ばすとその手を掴まれて、目を細めたオトコの顔をした彼と目が合う。
『紗江さんは本当に俺の事を何一つ分かってないんですね、、?今日一日、俺がどんな思いで必死に耐えてきたかなんて、、知りもしないでしょう?』
酷く怒っているのか聞いた事のない低い声。
怖いと感じているのに、それでも離れたくなくて震える指先で彼の指に絡める。
『っ、、ほら、、そうやって無自覚に煽って、、っ貴方の事が誰よりも何よりも大事なのにっ、、傷つけなくないのに、、そう思っている自分が紗江さんを欲望のままに触れて傷つけて、、嫌われるのが怖いだなんてっ、、、貴方は知らないでしょう!?!?』
その言葉を聞いて身体だけじゃなくて、胸の奥も熱くなる。
あぁ、、一緒なんだ。
彼も私と同じで、、誰よりも好きだから不安になったり、戸惑ったり、躊躇したり、、、色んな感情が入り混じって自分の事なのに制御できなくなる。