一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
それから幾度も重なって繋がって隙間なく抱き合った。
合間で何度か彼が水を飲ませてくれて、食事も取らずに結局一度もベットから起き上がる事なく1日が終わりを迎えた。
翌日も目が覚めたのは大分日が上がってからで、こんなに満たされた朝を迎えたのは初めてだった。
指一本も動かすことのできない私に、前の日にあれだけ〝謝らない〟と言っていた彼だったが何度も謝ってとても優しく介抱してくれた。
食事のお世話からシャワーのお世話まで。
大家族の長女で今までは介抱する側だった私が人生で初めて介抱される側になった。
とても気恥ずかしいけれども、幸せだった。
そんな週末を過ごし、翌日は仕事なのにも関わらず2人揃って寝坊して慌てて出勤した。
焦って笑って走って。
〝社会人になって情けない〟
〝学生じゃあるまいし〟
と人は思うかもしれないけど私達はきっとこれが初めての青春で本当の初恋なのだ。
その日はどうにか遅刻は免れたが、人目も気にせず手を繋ぎ社内をバタバタと駆けた事で注目を浴びたのは言うまでもない。