一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》


庶務課へとたどり着き、イライラしたように自らの椅子へと音を立てて座る彼女。

怒りが収まらないのかデスクの引き出しからチョコレートを取り出して口へと放り込む。








彼女が仕事中にチョコレートを口に含む時は、相当イライラしている時だ。


目を瞑り噛みしめるようにチョコを食べ終わると、こちらへと向き直り真剣な表情で口を開いた。
















「最近思ってたんだけど、、もうさ?片瀬くんとは〝婚約してる〟って口外しちゃえば?そしたら流石に言い寄られる事も減るんじゃない?遅かれ早かれ2人は結婚するんだろうし、問題なくない?」






突然の提案に思わず声を上げる。



「えっ!?確かにうちの両親にはそういう話はいってるけどゆくゆくはって話だし、それに彼のご両親にはまだご了承もお会いも出来ないし、、、プロポーズだってまだずっと先の事だよ。」

「〝結婚を前提に〟なんだからそんな弱気になる必要ないでしょ!紗江も言い寄られる事が増えたように片瀬くんも雰囲気が柔らかくなったって以前より増して人気なんのよ?ボヤボヤしてると取られちゃうかもよ?」

「それはっ、、、そうかもしれないけど、、。」




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