一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
『3年ぶりだと言うのに酷いです、紗江さん。』
彼は綺麗にセットさせていた髪の毛をたくし上げる。
すると見覚えのある顔に。
「え!?!?もしかして、、暁人君!?」
彼の名前を呼ぶと照れたように嬉しそうに頷く。
その表情は昔と変わらない。
彼の名前は片瀬 暁人(かたせ あきと)君。
私の3歳年下の25歳で、どういう知り合いかというと長男である弟の小学生の頃からの友達。
初めて彼と会ったのは私が中学生になったばかりの頃で彼は小学4年生。
弟の友達の中では、ずば抜けて礼儀が正しくて1番小柄な子だった。
弟とは小、中、高と全て同じだった彼は毎日のように家へ遊びにきていて、もう1人の弟のような存在だった。
だから勉強を見てあげたり、晩御飯を食べさせる事もあった。
一人っ子だった彼にとっても、私の存在は姉のようなモノだったと思う。
だから〝紗江さん、紗江さん〟と嬉しそうに後をついてくる彼は可愛かった。
そんな彼も年齢を増すごとに成長していき、最後に会ったのは大学を卒業した日。
だから実に3年ぶりなのだ。