一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》


昔はもっと気さくな感じだったし、最後に会った時は私よりほんの少し背が高いくらいだった。


だから別人のように、洗礼された男性になっている彼がわからなくても仕方ない。









「えっと、、ごめんね?最後に会った時とはあまりにも別人だったから驚いちゃった。しかも同じ会社に就職してたなんて知らなかったから。慎一からもそんな話全然聞いてなかったよ?」

『それは言わないで欲しいって口止めしてたんです。サプライズにしたかったので。』

「それならサプライズは大成功だね〜。」







なんだか久しぶりに帰ってきた弟に会えたような気分になり、つい話に花を咲かせる。


しかし、時間というのはあっという間で時計を確認すると就業時刻だ。








「あ、もう戻らなきゃ。暁人く、、じゃなかった〝片瀬君〟も最初は慣れないと思うけど頑張ってね!!同じ部署の人に聞きづらい事は何でも聞きにきてね?分かる範囲だったら教えてあげられると思うから。じゃあまた。」





部署は違えど、同じ会社ならまた話す機会はあるだろうと彼に背を向けると急に手首を握られた。

そしてそのまま強い力で引き寄せられた。






自分の肩がとんっと彼の胸板にぶつかり、何事かと顔を上げる。

すると切ない表情でこちらを見下ろす彼と目が合う。

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