一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
「大事な話、聞いてもいい?」
その言葉に対して一度深く深呼吸した彼は、俯いていた顔を上げこちらを見てくれた。
しかしその表情はとても苦しそうで胸が痛いくらいに締め付けられる。
暫く見つめ合った後に、彼がようやく口を開いた。
『まずは、、謝罪をさせてください。』
「、、何に対しての、、、?」
『自分の醜い心情の所為で嘘をついてしまった事に対してです。それから誰にも公言しないと約束していたのに紗江さんの気持ちも無視して的場さんに事実ではない事を伝えてしまいました。本当に、、、すみませんでした。』
そういうと彼は深々と頭を下げた。
そんな姿をみて悲しい気持ちになってしまう。
なぜならば私の気持ちを彼は理解していない。
あの時、私がどんなに嬉しかったかなんて全く知らないのだ。
その場でついた嘘だったと分かっていても、彼の言葉を思い出しては一日中フワフワとした気持ちになっていた私の事なんて。
「許さないよ。」
つい溢れた本音に彼の肩がびくっと上がったのが分かったが、そのまま言葉を続けた。