一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
そして前回同様に会社の玄関で彼を待つ。
あの時と少し似ていて、よそよそしい彼に思いをぶつける。
今回は長期戦で行く事も覚悟している。
時期が時期なだけに時間が経つごとに寒さが増していき、少し身震いをしながら彼を待つ。
すると1時間ほど経った時に、彼の戸惑った声が玄関のロビーに響き渡った。
『紗江さん!?どうしたんですか!?!?』
「あ、、片瀬くん。外回りお疲れ様。」
『こんな寒い所でなにしてるんですか!?』
そういって急いで駆け寄ってきてくれた彼は、着ていたコートを脱ぐと私の肩に掛けてくれた。
いくらよそよそしくなっていても、根本的な彼の優しさは変わらない。
久しぶりに彼の匂いに包まれてると、嬉しくなってつい頬が緩む。
「片瀬く、、いや、暁人くんを待ってたの。」
時間はもう終業時間。
だからもうプライベートな時間だ。
彼は私の真剣な表情に戸惑っている。
『俺に、、ですか?』
「うん。どうしても今日、話しておきたくて。」
『、、分かりました。ここでは紗江さんが冷えてしまいますから、中の休憩所へ行きましょう。』
突き放されるんじゃないかと不安だったが、話は聞いてくれるようでホッと胸を撫で下ろした。