一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
電車を乗り継いでたどり着いた実家だったが、やはり今日も感じる視線。
私のアパートはもう既にバレているので今更感があるが、実家を特定されるのは困る。
ここは私の大切な場所。
両親や弟達、それから可愛いお嫁ちゃんに可愛い姪っ子が穏やかに暮らす場所だ。
まだこれといった被害はないもののいつ悪意のある被害が私だけじゃなくここの家族にも及ぶか分からない為、実家へはたどり着いたが中には入らずに周辺をウロウロとしてしまう。
走って撒こうとしてもきっと撒けないだろう。
困り果てて実家の周辺を5周ほどした所で、急に後ろから肩を掴まれた。
「やっ、、!!」
怖くなって声を上げてしまうと、背後からよく知った声が耳に届いた。
「姉貴?そんなに驚いてどうした?」
「あ、、慎一、、、、。」
私を呼び出した張本だと分かると肩の力が抜けた。
そんな私の姿に怪訝な表情を浮かべた弟。
「、、顔真っ青だけど、どうかした?もしかして体調悪かった?」
「あ、、ううん。体調は大丈夫だよ。」
「〝体調は〟ってじゃあ他に大丈夫じゃないことでもあるのかよ。」
「大丈夫大丈夫っ!!何でもないからっ。」