一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
勘のいい弟に気づかれそうになって慌てて笑顔を作ったが、余計に眉をひそめてしまった。
「姉貴がそう言う時って大体、無理してる時だよな?何かあったんだろ?」
「何もないよ。本当に。」
「、、はぁ。じゃあ取り敢えず家に入ってから話しよう。行こうぜ。」
そう言って実家へと歩き出してしまった弟の手を引いて、行手を阻む。
「じ、実はこの後用事があるんだ。申し訳ないけどここで済ませない?ほら、家に入っちゃうと長居しちゃうだろうから、、ね?ちなみに慎一の用事はなんだった?」
「いや、用っていうか最近あんまり来ないから皆んな心配してるっていうか。」
「あ、なんだ。そんな事?見ての通り元気だよー!!最近ね少し仕事が忙しくて。それであんまり実家に行けなかったんだよね。ごめんね?皆んなにはアイツは元気だったって伝えておいて?なら、、用が済んだから私は行くね?」
そう言って掴んでいた弟の手を離し、背を向けて立ち去ろうとすると今度は反対に腕を掴まれた。
「何か隠してる事あるだろ?何年姉弟してると思ってんの?そんなのすぐ分かるから。声を掛けた時だってあんなに怯えた顔してただろ?実家に行きたくないならそれでいいから、訳を話せよ。」