一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
互いの性格はよく分かっている。
弟も私と同じで頑固な所がある。
ここではぐらかしても、きっと腕は離してくれないだろうし、このまま言い合いが続けば力尽くで家へと引きずられてしまう。
そうなったら実家が特定されてしまう。
そっちの方がきっと危険だ。
あの家にはまだ学生の弟達だけじゃなく、可愛いお嫁ちゃんと赤ちゃんだっているのだ。
ここで真実を伝えておいた方が慎一にとってもいいかもしれないと、観念して深いため息をついた。
「、、ちゃんと話すから腕離して?」
私の真剣な表情に嘘ではないと分かるとすんなりと腕を離してくれた。
「で?何があったんだよ。」
「ここ最近ね、なんか視線を感じるの。」
「は?それって、、ストーカーじゃね?」
慎一は私の言葉を聞いた途端、眉間に皺を寄せ怖い顔をみせた。
「いや、そういうんじゃなくて、、なんか見定められてるような視線。1人きりになると感じようになってね。、、今日もずっと付けられてるみたいなの。だから実家には入れない。」
「あぁ、、そう言う事。それ、暁人には?」
「、、言ってない。きっと凄く心配すると思うし、今仕事も凄く忙しいの。だから迷惑掛けたくない。実際には視線は感じるけど、これといった被害もないから。ただの勘違いかもしれないし?変に騒いで面倒だって嫌われなくないから。」
「、、俺だったら知らない方が嫌だけどな。あいつも同じだと思うけど。」