一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
「貴方がそこを退いてくだされば、直ぐに終わりますよ。」
そういうと遠慮気味に視線を私へと移した男性。
「、、そんなに怖がらないで下さい。危害を加えるつもりは毛頭ありません。それについ先日お会いしたばかりの筈ですよ?柏木紗江さん。貴方の記憶力の良さは人並み外れている。だから私が分からない筈ありません。」
「姉貴、、知り合いか?」
「わ、分からない。」
「怖がらせるような行動を取ってしまって申し訳ありません。柏木紗江さん、貴方にお願いがあって参りました。、、、どうか、、顔を上げて下さいませんか?」
男性の懇願するような弱々しい声に、ゆっくりと顔を上げて相手の顔を確認する。
「あ、、貴方は病室にいらした、、?」
「はい。わたくし、片瀬コーポレーションで社長付きの秘書をしております。芳川と申します。」
「、、片瀬コーポレーション?それって暁人の父親の会社だな。暁人は父親とはもう疎遠の筈だろ。今後の自由を引き換えに海外に赴任させたんだからな。もう関係ない筈だ。その秘書が姉貴に一体何の用だよ。てか姉貴も会ったことあんの?」
「うん、、先日ね。」