一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
暫くするとコーヒーが各々の前に置かれた。
それを合図に芳川さんが口を開いた。
「、、何処からお話して良いのか悩みますが、まず最初に1つお尋ねしても宜しいですか?」
「はい。」
「暁人さんの生い立ちはご存知ですか?」
「、、聞いてます。幼少期はお母さんと2人で暮らしていて、ある日お父さんがやってきてこちらへ越して来たと伺ってます。そして、、自分は愛人の子だとも言ってました。随分と厳しく育てられたとも。」
「そうですか。概ね合っていますね。しかしそれは真実ではありません。」
「真実でない、、ですか?」
「本日はその真実をお話しさせて下さい。」
深く深呼吸をすると芳川さんは真剣な表情をして真実を語り出した。
「私には歳の離れた腹違いの妹が1人おります。私は比較的に裕福な家庭で育ちました。ある日父親が突然、私の妹だと屋敷へと連れて来たのです。所謂〝愛人の子〟です。彼女がのちに暁人さんの母親となる女性です。しかし屋敷での彼女へと扱いは酷いモノでした。当時、子供だった私には理解できなった。私は妹ができた事が嬉しくて可愛くて仕方なかったんです。しかしそれがかえって彼女を苦しめていたなんて知らなかった。」