一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
彼は血相を変えると私の手を引いて勢いよく立ち上がった。
そんな彼を慌てて止めに入る。
「落ち着いて!暁人くんっ!!!もう〝過去〟だから!ちゃんと解決したからっ!だからね?一旦、落ち着いて座ろう?」
彼を必死になだめて椅子に腰を下ろさせた。
『いくら直接的な被害がなくても、こういうのは対処が早い方がいいんです。何かあってからでは遅いんですよ!?』
「だからもう大丈夫なの。犯人はもう分かってる。その人ともしっかり話合ったし。」
『相手と直接会って話合ったんですか!?!?なんでそんな危険な事を!?!?!?』
座ってくれたものの、話せば話すほど彼は興奮して話を聞いてくれない。
そこで彼の頬を両手でペチリと挟む。
『っ、、!?』
それに驚いた彼は口をつぐんだ。
そんな彼に優しく問いかける。
「心配してくれてありがと。でもお願い。話を聞いて?大事な話なの。」
『紗江さん、、すみません。冷静さを失っていました。、、話を続けて下さい。』
「ううん、大丈夫だよ。ありがと。話を戻すけど、その視線を送って来てた相手なんだけど、、実は芳川さんなの。」
『芳川?そんな名前の社員なんていましたか?それとも取引先ですか?』