一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
怯えるように恐々と接する自分とは正反対に以前にも増して近くで寄り添ってくれる彼女。
そんな彼女を自分なんかが本当に側にいていいのか、幸せになどできるのかという葛藤する日々だった。
結局自分は弱く幼いあの頃のまま。
嫌な事から目を逸らし、強く優しい彼女に甘えてばかりの自分勝手で狡賢い情けない年下の男だ。
彼女の言葉に温もりに直に触れて、包まれて、愛されて、冷え切っていた心がじんわりと温かくなっていく。
そしてようやく今、一歩踏み出す勇気が出た。
「んんっ、、。」
強く抱きしめ過ぎたせいか窮屈そうに寝返りを打とうとする彼女を掻き寄せて、優しく唇を合わせる。
すると無意識なのか、彼女も応えるように両手を背中に回し胸に頬を寄せ微笑んでくれた。
〝幸せ〟など正直よく分かっていなかった。
でもこの頬を伝う涙がどうしようもなく胸が熱くする。
きっと今、この瞬間が〝幸せ〟なのだと。
そして自分のような人間が果たして彼女を〝幸せ〟にできるのかと。
その為にも俺は決着をつけなくてはいけない。
考えるのはそれからだ。