一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
「暁人くん、重いでしょう?1人で座れるから、、下ろして?」
『紗江さんは軽すぎますから。それよりも声も少し枯れてしまっていますね。ほら、水分を取って下さい。それとも、、俺が飲ませましょうか?』
妖艶に微笑む彼に慌てて左右に首を振ると眉を下げながら、ミネラルウォーターを手渡してくれる彼。
私がペットボトルに口をつけている間も後ろから優しく抱きしめられた状態だ。
今の彼になら聞けるかもしれない。
昨日意識が遠のく最後に聞こえた言葉の真相を尋ねようと覚悟を決めて振り向こうとした瞬間、優しい彼の声が耳を擽る。
『芳川さんといつお会いしましょうか?多忙な方なのであちらの希望の日時はどうでしょう。勿論、紗江さんの都合の良い日で。』
驚きすぎてガバっと振り向くと優しく目を細めている彼と目が合う。
「い、、いの、、、?だって暁人くんは、、。」
言葉を詰まらせてしまう私に彼は困ったように優しく微笑んでくれる。
『紗江さんを心から信じていますから。俺の事を想っての事だということも、ちゃんと分かっています。いつまでも逃げていてはいけない問題なのは分かっていました。、、情けない所ばかり見せてすみません。紗江さんのお陰でようやく決心がつきました。ありがとうございます。』