一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
彼は社内でも社外でも人気が高く、陰口を言われる事もしばしば。
それなのに今はこんなにも多くの人から心配されて応援されて祝福されている。
社内恋愛は隠してするものだと思っていた。
誰にも知られず私情を挟まず密かに愛を育む事こそが美談だと。
それが今や社内公認。
皆に温かく見守って貰う事がこんなにも幸せな事なんて知らなかった。
これも全て彼が居てくれたからこそ知った事。
彼には本当に感謝しかない。
仕事量が増えた業務も滞りなく終わり、帰る支度をしていると隣のフロアの彼と目が合う。
ふわりと優しい笑みを見せると、自らも帰る支度をし終えこちらへと近づいてきた。
『お疲れ様です。紗江さんも終わりですか?』
「お疲れ様。うん、今終わった所だよ。暁人くんも?」
『終わりましたよ。では帰りましょうか。一緒に。』
「うん。」
手を差し出され、迷う事なくその大きな手に自分の手を重ねる。
そしてフロアに残っている同僚に頭を下げる。
「お先に失礼します。お疲れ様でした。」
「「「お疲れ様でした〜。」」」
皆に見送られながら、彼と固く手を繋いで会社を出た。
幸せを噛み締めながら、、。