一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
3人分のコーヒーが目の前に運ばれてきたのを合図に彼は口を開いた。
『紗江さんから聞きました。俺はずっと〝自由だった〟と。その真実を聞くために今日ここへ来ました。だから包み隠さずに全て話して下さい。俺は真実が知りたいのです。』
「、、はい。全てお話致します。」
真剣な表情で見つめ合った2人を私は見守る事しかできない。
彼が真実を受け入れても受け入れられなくても、見届ける義務がある。
だから目を逸らさずに2人を見つめる。
「最初に私の生い立ちから聞いてください。」
そう言って話を始めた芳川さん。
自分の生い立ち
自分の妹である彼の母親の事
彼の父親の事
そして両親の出逢い
別れ
再会
それからの引き取られた後の真意
社内の紛争
彼が守られてきた日常
そして、、父親の病
彼は時折、表情を歪めながらも目を閉じて静かに耳を傾けていた。
「、、以上が全ての真実です。信じてもらえないかもしれませんが暁人さんはっ、、。」
全てを話し終わった芳川さんが俯き気味の顔を上げたと同時に彼は口を開いた。
『〝愛されていた〟、、という事ですね。』
とても優しい表情でそう呟いた。