一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
出逢った当初の可愛かった彼の面影はない。
恐怖や不安から一歩踏み出すことの出来た彼は更に洗練された男性へと向かっていく。
それは年下とは思えないほどに。
「っ、、暁人さん、、そして柏木紗江さん、本当にありがとうございますっ、、、!」
『では本日は帰ります。日程は後日決めましょう。父の体調の良い時にでも。また芳川さんに連絡します。』
「はいっ、、!連絡をお待ちしております。」
芳川さんに別れを告げ、手を繋いで店を出た。
暫くお互い無言だったが、遠くを見つめながら彼は呟いた。
『、、こうして一歩踏み出してみると、景色がまるで違って見えるんですね、、、。』
「そうだね。」
『あの頃は子供で、事情も自分の置かれた立場も分からなくて父の思惑通りにただ恨む事しか出来なかったですが、もっと勇気を出していたら違った生き方も出来たのかもしれませんね。』
「、、うん。そしたら今頃、若くして一大企業の副社長とかになっていたのかもね?バリバリ仕事をこなして部下からも慕われて、キラキラと輝いていて誰もが憧れる存在なんだろうなぁ〜。」
『もし、父と話が出来て跡を継いで欲しいと言われたら、、どうするべきなんでしょうか、、?』