一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
立ち止どり、こちらに向き直って真剣な表情の彼にそう問われた。
だから率直な思いを伝える。
「きっとお父さんは言わないと思うよ。でも暁人くんが跡を継ぎたいって思えたなら継いだらいいと思う。今の暁人くんになら絶対に出来るよっ!私は側で応援してるから。」
『、、側に居てくれるんですか?』
「いるよ。暁人くんが例え手の届かない存在になっても暁人くんが私を好きでいてくれるなら離れたりしない。私、暁人くんのお母さんと違って我儘だから〝相手の事を思うなら、、〟って理由で身を引いたりしないかな。ふふ、自分勝手な考え方だけどね?あ!でも流石に暁人くんに振られたならキッパリと諦めるからねっ!?!?付き纏ったりしないから安心してねっ、、!?」
途中から怖い事を言っている気がして、慌てて訂正するとふわりと彼の温もりに包まれた。
「暁人くん、、?」
『紗江さんはいつだって〝欲しい言葉〝をくれるんです。本当に、、ありがとうございます。』
優しく抱きしめられて、ここが路上だと忘れてしまいそうになる。
学生ならまだしも、いい大人が人目のある路上で抱き合っていいわけがない。
突き離さなきゃいけないのかもしれないけど、今は常識とか理性とか全く働かなくて躊躇なく自分の両手を彼の背中に回してキツく抱き合った。