一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
episode14
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「ねぇ、紗江。もうすぐ人事課に返事しなきゃいけない頃じゃない?」
お昼に入ろうと大まかにデスクを片付けていると隣の真由ちゃんから声を掛けられた。
「うん、、そうだね。そろそろ言わなきゃだ。」
「、、一応確認だけど、受けるんだよね?」
「うん、、やってみようと思ってる。不安はあるけど皆んなが居てくれるから頑張れると思うし。」
「っ安心した〜っ‼︎ここで紗江に抜けられたら正直ヤバいかもねって皆んなで話してたんだよね。」
「抜ける?何で??」
「片瀬くんといよいよ結婚するでしょ?両家からお許しも出たみたいだし。そしたら寿退社って事もあるでしょ。片瀬くん、意外と嫉妬深いし仕事を辞めて家に閉じ込めておきたいタイプじゃない?片瀬くんの稼ぎだけで十分やっていけるだろうしね。」
「け、結婚?!」
〝結婚〟という言葉に思わず声を上げた。
実はあれからトントン拍子にことが運び、彼は父親と和解する事が出来た。
長年の思いを互いにぶつけ合って、時に声を荒げながら心の内を話したそうだ。
実際に私は一緒には行かなかった。
背中を押す事までは出来ても、それから先は家族の問題で部外者の私がいてはいけないと思ったからだ。