一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
席につくなり、食事が次々と運ばれて来る。
前菜、スープ、魚料理、肉料理、そしてデザート。
食べ終わっていくごとに徐々に緊張感が増していく。
いつもならもっと弾むのに、続かない会話。
食事中に感じられる彼からの視線。
デザートを食べ終わって、最後のコーヒーが運ばれた時にとうとう〝その時〟が来た。
彼はコーヒーには手をつけず、姿勢を正すようにしてこちらに真剣な眼差しを向けた。
『紗江さん、大事な話をしてもいいですか?』
「え?!う、うん。」
緊張と動揺が隠せずに変な声を上げてしまったが、彼同様に姿勢を正して真っ直ぐに彼を見つめる。
すると一瞬、泣きそうな表情を浮かべてから無表情に口を開いた。
『俺と別れて下さい。』