一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
綾ちゃんにグッと背中を押され、リビングから飛び出した。
私が今しなきゃいけない事はウジウジと考える事じゃない。
行動する事だ。
この気持ちが変わらないうちにと部屋着のまま家を出て、アパートへと向かった。
そうと決めたらあまり時間がない。
1ヶ月の内に色々としなきゃいけない手続きが山程あるのだから。
電話を掛けたり、部屋を片付けたりしているとあっという間に日が落ちていた。
殺風景になった部屋で姿勢を一度正してボールペンを握る。
描き終えたモノを綺麗に折り畳んで封筒に入れ、バックにしまった。
最後に部屋をゆっくりと見渡してから、大荷物を抱えて部屋を出た。
電車に揺られ、実家へとたどり着いたのは随分と日が落ちてからだった。
今朝、あんな事があったから少し気まずさもあって扉を開けることを躊躇していると家の中から騒ぐ声が聞こえた。
何事かと耳をすませてみると弟達の言い合っている声が聞こえた。
「兄ちゃんが最初にリビングから出て行くからこうなったんだろ?!」
「そういうお前らも出てきたんだろ?」
「そうだけどっ、、!こうなったら引っ込みつかないし!!!てか慎兄まで出て行ったとかまぢ意味分かんないし!ねーちゃん帰って来なくなったらどーするの!?!?」