一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
呼ばれた会議室に到着して中を覗くと慌ただしく作業をしている同僚達。
そんな私に気づいた同期の子が声を上げた。
「あ、柏木さんが来てくれたの?助かる!!」
「お疲れ様、須賀くん。私、何処に入ったらいい?」
「じゃあこれ、お願いしてもいい?全部で30部ずつ纏めて貰えると助かる。」
「了解。どうせ部長に押し付けられたんでしょ〜。ここは私がしておくから須賀くんは他にする事して大丈夫だよ?」
「、、え?なんで俺が案件抱えてるって分かったの?」
いつも冷静な須賀くんが手を止めて唖然とこちらを見る。
「だってさっき覗いた時に、須賀くん焦ったように凄く時計ばっかり気にしてたから。そんな事より時間大丈夫?ほら、早く行って。分からないとこは他の人に聞くから。」
「柏木さんだって仕事あるのにごめん!でも本当助かる!今度ランチ奢る!」
そう言って会議室から駆け出していく須賀くんの後ろ姿を見るによっぽど大事な用事だったらしい。
彼がいなくなった会議室はあまり見かけたことの無い若い子達ばかりが作業にあたっている。
入社した当初は任せて貰える仕事が少なくて、よくこういう作業をしたなぁと懐かしく思う。