一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
自意識過剰かもしれないが、仮にも告白してきた〝恋愛対象外〟の相手に部屋を教えるのは如何なものかと思ってしまう。
思わせぶりな事はしたくない。
だってそんなの、、とても残酷だから。
それでも流石に露骨すぎて彼を傷つけてしまったかもしれないと恐る恐る彼の方に視線を向けると何故か嬉しそうに笑っていた。
そしてゆっくりと手を離し、こちらへと体を向けた。
「っ、、暁人君?」
『それは〝男〟として意識されていると解釈しても?〝弟〟のように思っている相手だったら部屋を教えるのを躊躇ったりしませんよね。』
「そういう事じゃなくてね、、?その、、気持ちは嬉しいんだけど、私、、好きな人いるから。それに暁人君は、、その、、っ、、。」
目を細めた彼からそんな風にじっと見つめられると〝年下は無理だ〟とハッキリと断る事が出来ない。
俯いて黙り込んだ私の髪をひと掬いすると彼はその髪にキスを落とした。
『その人とは付き合ってないんですよね?例え紗江さんが誰かと付き合っていたとしても、、諦めません。まずは俺の本気を知ってもらえればいいですから。いずれ必ず紗江さんに振り向いてもいます。』
『、、それじゃあまた月曜日に。』
そういうと彼は私を残して颯爽と駅の中へと消えていく。
まっすぐな瞳で告げられた真剣な想いに柄にもなくときめいてしまって、暫くその場から動けなかった。