一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》


向かい側で作業をしている子が少しもたついているのを見かけてつい、声をかける。






「あ、それはねこうやって重ねてからした方が効率がいいよ?大丈夫。慌てないでゆっくりでいいんだよ。こういうのは慣れだから、数をこなせば自然と早くなるものだから。ね?」

「あ、ありがとうございます!」






急に声を掛けた所為で少し驚かせてしまったようだが、若い子は素直で飲み込みが早い。

言われた通りに書類を重ねて真剣に取り組んでいる。









そんな姿を微笑ましく思う。





弟が沢山いるせいか、直ぐにお節介を焼いてしまう。

そういうのも〝年下〟を恋愛対象にみれない原因かもしれない。






理想の男性は年上でそれでいて私より背が高くて、優しくてこんな巨漢な私を女の子扱いしてくれて甘やかしてくれる人。

当然そんな男性なんてなかなか出会えなくて、気づけば28歳。






同期の女子の殆どは寿退社してしまって、残すところあと数人となってしまった。

結婚が全てじゃないと分かっているが、親を安心させたい。

それに結婚相手は見合いとか婚活サイトなどで見つけるんじゃなくて自分で見つけたい。






30前にして、そんな事をいつまでも思っているから結婚出来ないんだと分かってはいるが、どうしても諦めきれない。

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