一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
その当時の紗江を思い出しているのか、彼はとても優しい表情を浮かべた。
『〝私よりも身長が10センチ以上高くて、それでいて優しくて穏やかな年上の人〟そう言ってました。』
「それで毎年背比べしてたの?紗江はそういう理由とは思ってないみたいだけどね。でも片瀬くんって昔は凄く小さかったんでしょ?それなら紗江の理想のタイプとまぁまぁ真逆じゃない?よく挫けなかったね。私だったらそれを聞いた時点で諦めて次いくけどな〜。」
『そうですね、自分も正直その会話を聞いた時は諦めるしかないと思いました。でも最後にこんな事も言ってたんです。』
そう言うと一呼吸置いて目を瞑った。
〝でも結局の所、、本当はこんな私を女の子扱いしてくれる人が理想かな〟
『、、と。それが当時の自分の中で、彼女の理想で当てはまる唯一の事だったんです。』
「紗江、そんな事言ってたんだ。確かに紗江はそこら辺の男よりも〝カッコイイ〟からなかなか〝女の子扱い〟はしてもらえなかったのかもね。」
『そうですか?俺は紗江さんを一度もカッコいいと思った事はありません。紗江さんは昔からとても優しくて温かくて、、それでいてとても可愛いくて。その可愛い視線を自分だけに向けて欲しいと思っていました。』