一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
それは営業課長である真木さんからの期待しているからこその深い愛情だという事は分かる。
でも今の彼には酷だ。
何も出来ずに立ち尽くすばかりで、次第に目の色が失われていくのが分かる。
このままではマズイと立ち上がろうとすると、ランチから最後に戻ってきた片瀬くんの姿が。
彼はこのただよらぬ状況を察して、入り口にいた同僚に経緯を聞くとすぐさまミスを犯した子の所へと向かう。
電話中の為、どんな会話をしているのか分からないが彼が優しく肩に手を置いて一言二言会話をしているのが分かる。
すると立ち尽くした子は途端に目に色が戻って、鞄を掴むと2人で外へと走り出したのが目に入った。
その姿をみた真木さんはやれやれといった表情を浮かべるものの少しだけホッとした顔をしていて、やっぱり真木さんも彼が心配だったのだという事が見て取れた。
きっと主任である片瀬くんが彼を説得して謝りに走ったのだろう。
真木さんも庶務課の部長に深々と頭を下げていて、気づけば真由ちゃんも隣に座り電話を掛けていた。
私も負けてられないなと、一度頬を軽く叩いてから気合いを入れ直してまた受話器を握ったのだった。