一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
それから定時前にはどうにか数の確保に成功して、胸を撫で下ろした。
あとは商品を回してくれた会社に新たに納品するべく急ぎで納品書を作成する作業に追われた。
気づけば外は真っ暗で、時計を確認すると定時を2時間も過ぎていた。
確保はできたものの、無事に足りなかった数は届けられただろうかと不安になっていると出払っていた営業の皆さんが続々と部署へと戻ってきた。
その中に真木さんの姿もあって、目が合うと優しく微笑んでから庶務課の部長の方と向かった。
そして皆の前で大きく頭を下げた。
「この度は、大変なご迷惑とご心配をお掛けして申し訳ありませんでした。庶務課の皆さんのお陰で不足分も全て無事先方に届きました。本当にありがとうございました。」
「あ、いや、、うちの確認ミスでもあった。水際で防げた筈なのに、こちらこそ悪かった。」
「とんでもありません。改めて庶務課の皆さんの連携の凄さを見せられて、うちの営業もまだまだだと痛感させられました。それも全て普段からの部長のご指導の賜物かと。」
「いやいや、皆が優秀なんだよ。そんなことより、、さっきは怒鳴って悪かったね、皆んなも。少し気が動転していて、どうかしていたよ。」
「いえ、こちらこそ嫌な役をさせてしまって本当に申し訳ありませんでした。しかしこれも全て部長が先方に丁寧に謝罪してくださったお陰です。本当にありがとうございました。」
さすが真木さんだ。
うちの堅物で有名な部長を上手具合に言葉巧みに操って怒鳴った事への謝罪までさせた。