一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
「え?片瀬くん、それ私のバックなんだけど、、えっと、、返して?」
『返しません。こっちの予定は何も聞かずに決めないで下さい。』
「じゃあ、、片瀬くんの用事って?」
『それは勿論、自覚のない可愛い紗江さんを家まで送り届けるという大事な用事ですよ。それまでこのバックは預かっておきます。こうでもしないと紗江さんに逃げられる可能性がありますから。』
「片瀬くんナイスっ!!これで安心安心。じゃあ後は任せて帰ろう陽介さん!」
「そうだな。じゃあまた明日。」
真木さんと真由ちゃんは片瀬くんの肩を叩いてから、楽しそうに退社していった。
彼もそんな2人に小さく頭を下げてから、私のバックを手に営業課へと戻って行ってしまった。
取り残された私は呆然と立ち尽くしていると、ケタ違いの納品書を作成した後輩の佐藤ちゃんが目の前に居て、目が合った瞬間ガバッと頭を下げた。
「柏木さん!!今日は本当にすみませんでした。でも柏木さんのお陰でなんとかする事ができて本当に本当にありがとうございましたっ!」
「佐藤ちゃん、顔上げて!!!!そんな大袈裟な事じゃないよ!?」
「でも柏木さんが手を差し伸べてくれなかったら私も営業の人も、きっとどうする事も出来なくて。」