一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》


「それじゃあ、、お願いしても良いですか?」

『はい、お任せ下さい。』







私の返事に満足そうに笑みを浮かべるとパソコンを叩き出した彼。

彼のそんな横顔を見ていると何故が周りからは〝おぉ〜〟や〝良かったね〜〟など聞こえてくる。







なんだか仕事がしにくいなと思いながら彼から視線を逸らすと今度は、先程まで隣にいた佐藤ちゃんがいつのまにか自分のデスクに戻っていてそんな彼女と目が合う。

すると嬉しそうに何度も頷いて、目をキラキラとさせている。






彼女はあぁ言っていたけど、やっぱり少し違うと思う。

主任として初めてトラブル対処に追われた彼。




疲れている時くらいは気心の知れた人間と居たいというだけだと思うし、何より彼は佐藤ちゃんが言っていたような冷たい人なんかじゃない。


私の知ってる暁人くんは昔から誰にでも笑顔だったし、弟達にも優しい子だった。






だから私にだけ〝特別〟という訳ではない。



そういう本来の彼を知らないから〝特別〟に見えてしまうのも仕方ないのかもしれないけど、あまりにも皆に過剰反応されると困る。

彼だって仕事もやりにくいだろうし、私も少しやりにくい。






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