一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
エンジンをつけながら、少し頬を赤くする片瀬くんが可愛くて思わず頬に手を伸ばした。
「ふふっ、、頬、真っ赤だよ。可愛いなぁ〜。片瀬くんはこんなに表情豊かなのに、どうしてみんな気づかないのかな〜。片瀬くんもっ!会社でも今みたいにもっと色んな表情、した方がいいよ?その方が絶対良い!!ね?」
『っ、、、つ、、!』
頬を触れた指先を掴まれて、勢いよく顔を背けられてしまった。
私が〝カッコいい〟と言われるのが嫌なように、片瀬くんがいくら弟のような感覚だったとしても男の人に〝可愛い〟なんて流石に失礼だったのかもと、慌てて声を掛けた。
「っごめんね?可愛いだなんて失礼だったよねっ!?怒っちゃった、、、?」
そう声を掛けても、握られた手を離してはくれず黙り込りだままの片瀬くんにもう一度謝ろうと声を掛けようとした瞬間、ゆっくりとこちらに鋭い視線を向けた彼。
その表情があまりにも普段とは違って、まるで知らない男の人みたいでドキッとしてしまう。
『紗江さん、俺が貴方が好きだと言った事、、ちゃんと分かってますか?貴方は無意識にそんな事をしてくるんでしょうけど、俺だって男ですよ?こんな密室な空間で好きな女性に触れられたら〝指一本触れない〟と神に誓ったとしても不可抗力です。』