一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
そう言って握られていた指先に優しくキスを落とされ、そのまま指を甘噛みされた。
そんな事を男性にされた事は初めてで、つい変な声を上げてしまう。
「ひぁっ、、!?あああ暁人くんっ!?!?」
『これに懲りたら、、もう無闇に触らないで下さい。俺の鉄壁な理性に感謝して下さい。今回はこれで許しますが、次はありませんので覚悟しておいて下さい。いいですね?』
キャパオーバーで言葉が出せない代わりに必死に何度も頷くと、ふわりといつものように笑ってようやく解放された。
『じゃあ帰りましょうか。シートベルトはされましたか?発進しますよ。』
そう声を掛けてから会社の駐車場を出た。
『ちなみにお住まいのアパートはどの辺ですか?』
「隣町のみどり公園の道向かい、、です。」
『分かりました。では安全運転で向かいます。』
「お、お願いします。」
あんな事があった後だから、どうしても会話が固くなってしまっていつものようには接する事が出来ない。
彼を〝男性〟だと意識せずにはいられない。
けして強く噛まれた訳じゃないのに甘噛みされた指がジンジンと痺れて、少し赤くなっている。