一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
「あそこのうどん屋さん、初めて行ったけど美味しかったね〜。」
『そうですね。でも俺が今まで食べたうどんの中では紗江さんの作ってくれた鍋焼きうどんが1番美味しかったです。未だにあの味を超えるうどんに出会ってません。』
「えー?作った事あったかな?あれは体調不良な子にしか作らないんだけどな〜。」
『ありますよ。、、その日、いつものように勉強しにお邪魔してたんですけど、急に具合が悪くなってしまって、、ベットに横にならせてもらった挙句に食事まで準備してくださって。』
「、、あ!思い出したっ!!暁人くんが中学の時でしょ?急に熱が出ちゃって凄く体調が悪そうなのに移しちゃ悪いからって歩いて帰るってきかなったもんね〜。止めるのに大変だったもん。ご両親に連絡入れるって言っても、忙しい両親には絶対に連絡しないでくれって頑なだったよね。」
『、、そうでしたね。結局、紗江さんに色々と介抱してもらって、帰ってきた知恵さんに家まで車で送ってもらいました。』
「そうそう!お母さんあの日、暁人くんを送って帰ってきたらもの凄くご機嫌で〝何かいい事あったの?〟って聞いたら〝将来が楽しみだ〟とかよくわらない事言ってたんだよね〜。あ、そこの角を曲がった所の二階建てのアパートです。」
そんな昔話に花を咲かせていると、いつもの見慣れた風景が見えてきてあっという間に到着した。