心がささやいている
興味という名の品定め
「なぁ、月岡ってどいつ?」
「え?月岡?月岡なら、えーっと…ほら、あの窓側の一番後ろの席に座ってるコだよ」
友人が指差す方向に目をやれば、そこには独り静かに本を読んでいる女がいた。窓から流れ込む緩やかな風に長い髪をサラサラとなびかせ、手元の文字列へと視線を落とす横顔は、どこか騒がしい周囲とは切り離された別の空間にいるかのような雰囲気を醸し出している。
不覚にも思わず目を奪われかけて、咄嗟に何気ない風を装い周囲へと視線を流した。
「……ふぅん…」
「なに?何か用事?オレが呼んで来てやろっか?」
辰臣さんが言っていた例の女が隣のクラスにいることが分かって、少しの興味で通り際その教室を覗いただけだった。だが、何しろ顔も知らない人物だ。当然、分かる筈もなく…。そのまま通り過ぎようとしたその時、偶然にも教室から顔見知りの友人が出て来た為、挨拶がてら聞いてみたのだけど。
にこにこ…というよりはニヤニヤといった笑顔を浮かべて興味津々に聞いてくる友人に思わず引いた。変な誤解を受けたくはなかった。
「いや…。友人の知り合いらしくてな。ちょっと聞いてみただけだ」
あくまでも特別興味はないといった様子で返すと、友人は今度は分かり易い程に肩を落とした。
「なんだよ、どうした?」
「『なんだよ』はこっちのセリフだってーの。せっかく、彼女に声を掛けれるチャンスだと思ったのにーっ」
「はぁ?」
「オレ、まだ彼女と話したことないんだよ。せっかく同じクラスなんだし話してみたいんだけど、なかなかキッカケがなくてさー」
(えっ…?そっち?)
「え?月岡?月岡なら、えーっと…ほら、あの窓側の一番後ろの席に座ってるコだよ」
友人が指差す方向に目をやれば、そこには独り静かに本を読んでいる女がいた。窓から流れ込む緩やかな風に長い髪をサラサラとなびかせ、手元の文字列へと視線を落とす横顔は、どこか騒がしい周囲とは切り離された別の空間にいるかのような雰囲気を醸し出している。
不覚にも思わず目を奪われかけて、咄嗟に何気ない風を装い周囲へと視線を流した。
「……ふぅん…」
「なに?何か用事?オレが呼んで来てやろっか?」
辰臣さんが言っていた例の女が隣のクラスにいることが分かって、少しの興味で通り際その教室を覗いただけだった。だが、何しろ顔も知らない人物だ。当然、分かる筈もなく…。そのまま通り過ぎようとしたその時、偶然にも教室から顔見知りの友人が出て来た為、挨拶がてら聞いてみたのだけど。
にこにこ…というよりはニヤニヤといった笑顔を浮かべて興味津々に聞いてくる友人に思わず引いた。変な誤解を受けたくはなかった。
「いや…。友人の知り合いらしくてな。ちょっと聞いてみただけだ」
あくまでも特別興味はないといった様子で返すと、友人は今度は分かり易い程に肩を落とした。
「なんだよ、どうした?」
「『なんだよ』はこっちのセリフだってーの。せっかく、彼女に声を掛けれるチャンスだと思ったのにーっ」
「はぁ?」
「オレ、まだ彼女と話したことないんだよ。せっかく同じクラスなんだし話してみたいんだけど、なかなかキッカケがなくてさー」
(えっ…?そっち?)