マスクの最強少女



「今の椿ちゃんにはなんの言葉も通用しないよ…
俺たちには見守ることしかできない」


「…無力だな」


大丈夫。椿ちゃんは死なないからって俺の肩を叩いて青木は持ち場に戻った




午後21時。まだ作業が続いている

神代さんは何度か黒糖と水分補給をしに戻ってきたが、

「大丈夫です!」

としか言わない


俺は映像を監視し続ける仕事にプラス、搬送者の名前をパソコンに打ち込んでいた




午後24時。日付が変わってもなお、人の動きが止まることはなかった

ずっと張り詰めていた緊張が徐々に緩んできて、眠気が襲ってくる


「宮本?今日はもう良いぞ、帰ってしっかり寝ろ。明日体育祭だし」


いや…確かに俺は何もできてないけど、頑張ってる神代さんを置いて帰る勇気なんてない


「…邪魔にならないなら、神代さんが終わるまでいても良いか?」


「お前が構わないならこっちも助かるし…全然いいけど、

寝なくていいのか?明日、リレーの代表だろ?」


確かに、運動面ではみんなに頼られてるから、色々な種目に出ることになっている


「いやいや、体力測定全校1位舐めんなよ?それくらいでへこたれねぇわ笑」


「そうか笑ならいい。」


「青木こそ疲れてんだろ?1日で顔が痩けてきてるぞ」

見るからにいつものような張りが顔になく、上の立場は大変なんだろう


「お前はずっと呼び捨てにするなぁ…笑

…そりゃあ、大丈夫だってわかってても心配だからな。
俺が変われるんだったら変わりたいよ。

でも、お前と話せてちょっとホッとしたわ!ありがとうな」


そう言って自分の持ち場に戻って行った青木が、いつもより小さく見えた



…俺たちには見守ることしかできない





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