2度目の初恋
夏休みも残り2週間。


大会やら遊びに行ったりしてあっという間だった。


「1回実家に帰ったほうがいいかな…」


ぼそっと呟いた。


「俺は大会終わってから、家族と会ったよ。」


公平が言った。


わたしの言葉聞こえてたんだ…


「そーいえば、そうだったね。じゃ、わたしも実家に帰るね。」


「おう、家族とゆっくりしてこい。俺、待ってるから。」


わたしの実家は電車で2時間くらいかかる。


東京でいえば田舎だと思う。


周りは緑ばっかり。


でも、それがわたしは好き。


すごく落ち着く。


わたしが一人暮らししているマンションの近くは騒がしいし、お店もたくさんある。


まぁ、便利と言えば便利だけど、わたしは静かなほうが好きだからやっぱり実家が1番。


でも、医者になりたくて今通っている学校を選んだから寂しい。なんて言ってられない。


でも、前よりは寂しさは減ったかな?


公平のおかげで。


「ただいまー」


「美羽!?」


「そうだよ-」


「びっくりしたじゃない!!」


「いきなりごめんね~」


お父さんと璃空(りく)も出てきた。


「美羽!会いたかったぞ!!」


「お姉!」


わたしは家族から愛されてるなと頬が緩くなる。


お母さんは専業主婦。お父さんは製薬会社の社長。


そして、璃空はU18のサッカー日本代表。


家族が4人集まることはなかなかなかったのに、連絡もせずに来たのに揃うとは奇跡に近い。


「美羽、嬉しいよ~、ちょうど今日休みだったんだ。」


お父さんは会社で大変でも、休みの日は遊んでくれたり、出かけてくれたりしてくれた。


わたしが高校に行くため、一人暮らしすると言ったときなんて泣いてた。


周りから見れば、溺愛だろう。


わたしもそう思うけど、全然嫌じゃない。むしろ嬉しい。


「美羽、学校生活は楽しいか?」


「うん、楽しいよ」


「あら、美羽がそんなこと言うなんて。前は聞いたら、勉強が大変だよーーって嘆いていたのに。」


あれ、そうだっけ?


全然自覚ない。


「わたしさ、彼氏できたんだよね。」


「え!!!ついに、お姉が!!」


「そうだよー。」


「美羽、おめでとう!!」


お父さんは泣きそうになってる…


「お父さん、彼氏できたくらいで泣かないでよ~」


「いや、嬉しいんだよ、よかったな、美羽。」


「ありがとう~」


「久しぶりに4人で焼肉でも食べましょうか!!!」


「やったー!」


夜は家族で焼肉を食べた。


お風呂に入った後、公平に電話して、明日帰ると伝えた。


次の日の朝、1人で散歩したり、璃空の勉強を教えたりした。


昼は、お母さんとカフェでランチを食べて、そのまま電車に乗った。


お土産でお母さん特製のリンゴジャムとブルーベリージャムを持って。
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