2度目の初恋
久しぶりの1人。


美羽は、実家に帰った。


「あー、1人寂しいな〜」


それでも俺はすることがあった。


美羽がいないときにしかできないこと。


それは病院に行くこと。


1人で病院に行く。


大学附属病院だからすごくでかい。


美羽が行ってからすぐ予約したからあまり待たなくて済んだ。


担当の森本先生が


「まだ頭痛とかする?」


「はい、あと変な汗とか出るし、寝れないです。」


「そっか、記憶喪失の後遺症だね、1年経っても良くならない?」


「あまり変わってないです」


「うーん、この病院に来て精密検査してなかったから1回してみようか」


「わかりました」


俺は、血液検査やMRIなどを受けた。


数時間後。



「結果は特に異常はないね。それと催眠療法を続けるつもりはない?」


「続けたほうがいいのは分かってるんですけど、学校で忙しいんで」



「週に1回だけでもしない?土曜日だけでもいいから」


「考えてみます」


そーいえば、東京に来てから催眠療法してなかった。


学校で忙しいってのもあるし、美羽にばれたくない。


正直な話、玲那から美羽は男に興味がないとか言ってたけど、美羽はモテる。


体操部の1年だって美羽先輩可愛いっすよねーとか言ってくるし。


頭もいい。運動神経もいい。そして可愛い。


美羽のこと知らない奴なんていない。


美羽は全く自覚していないけど。


俺の初恋が美羽だ。


美羽を離したくなんかない。


なのに記憶喪失したことがバレたら…


なんて考えると背中が凍るぐらい怯える。


でも、催眠療法を続ければ記憶が取り戻せるかもしれない。


どうすればいいかわからないままマンションにいついた。


やばい、頭痛くなってきた。


今日はおでこをハンマーで叩かれてるような痛みまである。


「なんだこれ、おかしくねーか」


でも痛みは治まらない。


そしたら


美羽から電話だ。


「公平くん、明日帰るね〜」


「そっか、わかった」


もう切ってしまった。


電話どころじゃない。


痛すぎて周りがぼやけて見えるくらい。


「ウゥ…ダメだ…」


俺はソファーに横になった。


冷蔵庫から出した水を飲んで


1時間したら少し治まった。


「このまま隠すわけにはいかないよな…」


バレるのも時間の問題だ。


美羽には言おう。いつまでも一緒にいたい相手だからなおさら言わなきゃいけない。


それでもし美羽が別れを切り出したらそれはそれで仕方がないこと。


覚悟を決めて目を瞑った。


それでも深夜3時まで寝れなかった。
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