2度目の初恋
公平くんが泣き終わった後、わたしは公平くんに初恋した時のことを詳しく説明した。


席が隣になって国語の教科書を読み合いしたこととか。


公平くんが一輪車がすごく上手だったこととか。


わたしに寝顔が可愛いって言ったこととか。


公平くんは、「嘘だろ!!」って驚いてたけど


全部本当。


公平くんは何度も記憶を失ったこと、それを隠していたことを何度も謝った。


わたしは「もう気にしないから、それでもずっと好きだよ」


と言い続けた。


公平くんは「ありがとう、もう2度離さないから。」


とわたしの目をはっきり見て言った。


わたしは病室を出て、エレベーターに乗ろうとしたら、


「美羽ちゃん?」


公平くんのお母さんだった。


「少し話せるかしら?」


「はい」


わたしは公平くんのお母さんと病院内にあるカフェに行ってわたしは抹茶オレ、公平くんのお母さんはカフェラテを頼んだ。


わたしは公平くんのお母さんが話すのを待った。


「公平から記憶喪失のことは聞いたわよね?」


「聞きました。」


「公平、美羽ちゃんに隠していたことをとても申し訳なく思っていたみたい。家族みんな美羽ちゃんと交際していることは聞いてたから、はやく言ったほうがいいと言ってたけどまさか倒れるとは思わなくてね…」


「そうなんですね。」


「美羽ちゃん、わたしが呼んだのはお願いがあるからなの。」


「なんですか…」


「公平が美羽ちゃん好きなのは分かる。でも公平は去年の事故で記憶喪失になってから後遺症で苦しんでる。一人暮らしも公平がどうしてもと言うからさせているの、でもまだ症状が収まらないの、このまま公平を放っておく訳にはいかないの。だから美羽ちゃん、公平のそばにいてほしいの。」


「え……」


「公平も美羽ちゃんのこと好き、美羽ちゃんも公平のこと好きなのよね?」


「はい」


「公平といて大変だったりすることが多いかも知れない。でも、公平は美羽ちゃんのことを必要としている。もし、美羽ちゃんがいいならわたしの代わりにそばにいてほしい。公平に青森に帰ることを提案したんだけど、絶対に高校は卒業してずっと美羽ちゃんのそばにいたいって頑なに言うから、、、あんなにはっきり言うの初めて見たわ……」


「わたしは公平くんのことずっと好きなんです…小学1年生から。」


「小学生って、青森にいたの?」


「いや、小学1年生の時だけです。その小学生1年生の時にわたしが公平くんのこと好きになったんです。それが初恋で、10年ぶりに再会したっていう…」


「なんて運命なの!!」


公平くんのお母さんは目を大きく開いて、声を大きくして言った。


「だから公平くんのそばを離れたくないんです、だからわたしの方のこそお願いします、そばにいさせてください。」


「ありがとうね、美羽ちゃん。」


それから公平くんのお母さんとは公平くんのお兄ちゃんの話とか他愛もない話をたくさん話した。


わたしは公平くんや公平くんの家族がわたしのことを必要としてくれていること、そして、わたしと公平くんを一緒にいさせてくれることがとても嬉しかった。
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