2度目の初恋

目撃

6月の地区総体に向けて



わたしと公平は一生懸命にお互いに部活してる。



でも勉強も怠ってはいけない。



特にわたしは。



わたしは、6時に起きて朝1時間勉強し、朝ごはんを7時から作って、7:30ごろに公平を起こして一緒にご飯を食べて、8:00ごろに家を出て学校着く。



そして、7限までの勉強をして夜19:00過ぎまで部活。



でも、公平と部活終わる時間が同じではないから、最近は一緒に帰ってない。



それでも一緒に晩ご飯食べるし、お風呂に入るし、全然気持ちが離れたとか思ってない。



(最近、行為はしてないけど)



それでも、事件は起きた。



1年生を勧誘して、バレー部は18人入ったが、体操部は14人しか入ってない。



少なくないと思うが、毎年20人くらい入ってるから少ないと公平は思ってる。



問題はそこじゃない。



公平のことを「かっこいい!」「公平先輩を見てたい!!!」という後輩があまりにも多すぎて



体操部マネージャーがたくさん入った。



7人。



そんなにマネージャーいる?



全校約1000人もいるんだから、かっこいい人たくさんいるじゃん!!!



同じクラスで言えば、3-2のサッカー部の内藤くんとか、バスケ部の本田くんとか、ボクシング部の結城くんとか、とにかくかっこいい人はいる。



わたしにとっては公平が1番かっこいいんだけど。



最初はそんなに気にしなくていいと思ってた。



というか、気にしなかった。


でも、部活が少しだけ早く終わって、体操しているところを見に行ったら、



7人とも可愛い。



部員、約70人もいるのに、ずっと公平のことを見てる感じ。



公平が足を痛めてるとこを見たら



すぐに駆けつけて「大丈夫ですか、先輩!」



と言って怪我の手当てをする。



なぜかそれに嫉妬してしまってる自分がいた。



怪我の手当てをするのはマネージャーの仕事だし



公平も変にカッコつけてないのに、なぜかモヤモヤする。



それを口にはしなかった。


あまりわたしが気にしすぎだと思ったから。



公平がわたしに気づかないうちに、体操練習室を去って、家に帰った。



20:00。



公平は帰ってこない。



いつも、遅くても20:00には帰ってくる。



嫌な予感がする。



21:00。



帰ってこない。



流石に心配になって公平にメールを送る。



「なんかあった?それとも部活?連絡待ってるね。」




返事が来る感じは全くない。



結局帰ってきたのは23:00過ぎだった。



「カチャ」



「公平、なんかあった?メール見てない?」



「え?あー、ごめん、見てなかった。ちょっと、部活遅くなった。」




「23:00過ぎまでやってたの?」



「まぁ、そうだな。」



「でもあまりにも遅すぎない?いつも20:00には帰ってきてたじゃん。」



「美羽、気にしすぎ。もうすぐ大会だから自主練とかしてたんだよ。美羽、もうご飯とかお風呂入った?」



「うん、あまりにも遅いから、ご飯テーブルにあるから食べて、わたしもう寝るから。」



「わかった、おやすみ。」



遅くなった理由が自主練であればよかった。



でも、事実は違った。



それがわかったのは1週間後。




大会があと2週間と迫っている中、同じクラスの本田くんと一緒に体育館の掃除をしていた時だった。



体育館を使う前と後はは必ずモップで体育館をかける。



今日は、バスケ部もバレー部がモップをかける当番。



いつも、1年生がかけるけど、今日は早く体育館に着いたため同じく早くきた本田くんと一緒にモップをかけている。



モップをかけている間、



「本田くんって大学どこ行くの?」



「AOで私立行くかもな、経済学学びたいと思ってる。姫野は?」



「医学部行くよ!」



「ずっと変わってないよな。」



「そうだね」




本田くんとは1年から同じクラスで何気に結構話しているかもしれない。公平のことも知っている。


「最近、公平とはどうなの?」



「うーん、普通?」



「なんではてななんだよw」



「いや、公平モテるからさ、最近本当に公平の彼女かな?とか考える時あるんだよね、こんな忙しい時にw」



「公平がモテるのは今に始まったことじゃないだろ、それに姫野もモテてるよな?」




「本田くんこそ!」



「まぁ、否定はしないw」



「嫌なやつだわーーーw」



「そんなこと言われたくないわ、てか、俺のこと舜弥(しゅんや)でいいよ、本田って結構いるから、この学校」



「じゃ、舜弥くんで」


「おぅ」



「ていうか、なんで彼女作らないの?」



本田くんは俯いた。



「あ、ごめん、気にしないで、聴いてごめんね。」




「俺、3-7の廣川 七海(ひろかわ ななみ)が好きなんだ。」



「そうなんだ。」



「七海ちゃん、可愛いもんね、お似合いだよ!」




「そうだけどな、廣川、英弥(ひでや)と付き合ってんだよ。」



「そうなの!?お兄ちゃんだよね!?」



「俺も1ヶ月前知った。あまり兄弟で話さないし、俺が廣川好きになったの1年の体育祭の時なのに、付き合ったの去年の春からっていうなw」



「結構長いね…」



「俺、1年から好きだったのに、告白する勇気が出なかった、あまりにも情けないよな、俺…あいつはなにも悪くない。」



「舜弥(しゅんや)くん自身を責めなくていいんだよ」



「今は廣川を忘れようと頑張ってる。」



「舜弥くん…」



「だから好きな人と一緒にいれることはすごく幸せなことやぞ、その時間を大切にな。」



「ありがとう」


こうやって話している間に、あっという間に広い体育館のモップ掃除が終わり、ちりとりを取りに体育館倉庫に入ろうとしたら、



「まりなちゃん、今日もあそこでね?」



これ公平の声だ。



「先輩、好きです…」



リップ音…



もう、聴いていられなかった。



幻かと思った。



いや、幻だと思いたい。



でもこれは現実。



体育館倉庫から、足音が聞こえてきたので、体育館倉庫の隣の女子更衣室に隠れた。



扉が開いて、女子更衣室のドアからこっそり見たら、公平とまりなちゃんとかいう小柄な女の子が出てきた。



まりなちゃんは体操のシャツを着ていたから、体操部のマネージャーだろう。



いや、思いだした…



1週間前に、公平の怪我の手当てをしていた子だ…



ってことは1年生か…




23:00に帰っている理由は、まりなちゃんが原因か…



「はぁ…」



もうため息しか出ない。



さっき、舜弥くんから好きな人とずっといれる時間を大切にと言われたばかりなのに…



あっという間に奪われた。



涙が止まらない…



「ヒクッ…ヒクッ…」



わたしは泣いていた。



「姫野!?姫野どこだ!?」



これは舜弥くんの声…



「やばい、ちりとり!」



わたしは、泣いた目を擦って、女子更衣室のドアを思いっきり開けて、舜弥くんの声がするところに向かった。



「姫野、どうした?」


「ごめん、ちりとり今とってくる。」



「いや、大丈夫だ、バスケ部の後輩がやったから。」



「ごめん…」



「どうした、目赤いぞ…もしかして、泣いたのか?」



「まぁ、ちょっとね…」



「なにがあったんだよ」



「ううん、気にしないで、わたしは大丈夫だから。」



「大丈夫じゃないだろ、なんかあったんだろ、もうすぐ部活始まるし、今日は19:00には終わるか部活?」



「うん。」



「俺も19:00だから話はそれからだな、てか部活できるか?」



「もちろん、わたし、キャプテンだし、頑張らなきゃ!」



「あんま無理すんなよ」



「ありがとう」



それから、約2時間部活をした。



正直、集中できなかった。



頭の中は公平とまりなちゃんの2人のことで頭がいっぱい…



もしかしてもう付き合ってるとか?



そんなことまで考えてしまっていた。



全く集中できてなかったが部活が終わった。



部活が終わり、舜弥くんが来た。



「姫野、大丈夫か?」



「舜弥くん、話聞いてくれる?」



「もちろんだ、バスケの部室もう誰もこないから、そこで話すか?」



頭が結構パニックで誰かに話したかった、舜弥くんになら話してもいいと思った。



泣いてしまったところを見られたし…



バスケ部の部室に舜弥くんと入った。




いや、めっちゃ広い。



そりゃ、部員80人くらいいるもんね。



黒いソファーに座った。



そして、体育館倉庫で起きたことを全部話した。



舜弥くんは



「あの野郎…まじで最低だな…」



と呟いた。



「てか、あそこってどこだよ?」



「それがわかんないの、詳しく言ってなかったから。」



「まだ体操部はやってるはずだ、公平のあとを2人で後を追うか?」



「え?そんなこと…」



「ごめん、やりすぎだよな。」



「いや、わたし気になる。後を追うだけ追うよ。話はそれからだと思う。」



「姫野が傷つく結果でもいいのか?」



「もう傷は結構ついたからw」



「無理に笑うな…」



舜弥くんがわたしの頭を優しく撫でてくれた。



結局、舜弥くんとわたしで公平の後を追うことになった。



20:12


もう暗い。



校舎裏から昇降口から出る公平が見えた。



そして、その隣にはまりなちゃんと言われる女の子。



バレないように、2人の後を追った。



歩いて、20分。



着いた場所は遊園地。



わたしと舜弥くんはただ立ち尽くすだけ…



「え、まじで…」



わたしの第一声。



「まじかよ…」



舜弥くんの第一声。



ほんとにまじかよ…って感じ。



「もう、これデートだよね?」



「まぁ、そんな感じやろうな。」



「俺らもデートする?」



「なにを言ってるの!!」



「ごめん、そんな怒らんといてw」



「これからどうする?姫野」



「もう帰るよ…」



「家まで送るよ。」



「ここまで着いてきてくれてありがとう、ほんとにありがとう。」



「いつでも話聞くから。」



舜弥くんに家まで送ってもらって、



もう時刻は21:01


帰ってくるの2時間後くらいかな…



とか思いながら制服を脱ぎ、お風呂に入る。



食欲はもうはない。


どこから話すか、なにを話すべきかよくわからずに、あっという間に23:12



「カチャ」



「美羽、まだ寝てなかったんだ。」



「うん、まりなちゃんとの遊園地楽しかった?」



「え…?」


「体操部マネージャーのまりなちゃんとの遊園地は楽しかった?」



「美羽…」



「もう2度と離さないって言ってくれたのに…信じてたのに…」



「美羽、聞いて。」



「もう無理…体育館倉庫でキスまでして、最近帰りが遅い理由はまりなちゃんが理由だったんだね。」



「美羽…」



「もういい、わたしのマンションに帰るから、じゃあね。」



わたしは公平のマンションを出て自分のマンションに向かった。



下を向いて、泣きながら。








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