100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
「ああ、そうねー。
 特に用事は……」

 ないから、と言おうとしたとき、鞄の中でスマホが鳴り始めた。

 高倉だった。

『あやめ様、ご夕食の準備ができておりますが、どうされますか?』
と訊かれる。

「ああそっか。
 はい、今から帰ります。

 すみません」
と言って切った。

 連絡してないのに食べて帰ったら、せっかく用意してくれてるのにもったいないな、と思い、内藤にそう告げると、やたら、うらやましがられる。

「なんだよ。
 いいなあ、帰るとメシがあるのって。

 俺も専務の家に下宿したい」
とまで言い出した。

「じゃあ、訊いてみたら?」
とつい言って、莫迦かと言われる。
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