100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
「最初は、あなたを遠目にでも見られたら。

 お相手の方をこの目で見て来ましたが、結構です、とひいおじいさまたちに断る口実ができるかなと思っただけだったんですけどね」
と溜息をついて言うと、

「いや、お前の面接、ものすごいやる気のある受け答えだったと聞いてるが……」
と基が言う。

「だって、専務って、最終面接まで現れないじゃないですか」

 だから、頑張って、最後まで残ったのだ。

「でも」
とあやめは言った。

「でも、私、今はこの仕事が好きです」

 その言葉に、そうか、と基が頷く。

 なんとなく、職場のような雰囲気になったが我が家だった。

「ま、そんなことはともかくですね」
とそこで、いきなり、高倉が話をぶった切る。

 そんなことはともかく? と二人で、高倉を見た。
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