100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
「まあ、いろいろ、あやめにも、いい話は来てはいるんだが。
 あやめがあの話を断るかどうか様子を見てからと思ってな」

「あやめにもう縁談とか、来てるのか。
 まだまだ早いだろ」

 小さな頃から見守ってきたあやめは、朔馬の中ではまだ幼児のままだった。

 だが、ふと気になり、訊いてみる。

「見極めに行ってるって、何処にいるんだ? その男」

「あやめの会社に決まってるだろうが」

 いや、決まってるだろうがってな、と思っていると、虎次郎が後ろの棚に手を伸ばし、薄い冊子を出してきた。

 あやめの会社の社報だった。

「この男だ。
 見てくれも頭も地位も申し分ないが。

 まあ、あやめがなんて言うかだな」
と言って、虎次郎が指差した、新しく専務になった男の記事を朔馬は見た。
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