100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
 



 今日もデザートまで大満足の夕食だった。

 美味しいものを食べると、それまでのことをすっかり忘れて、幸せになるあやめは、

 いや~、満足満足、と紅茶を飲んでいて、基と目が合った。

 じっとまっすぐに、そらすことなく、見つめてくる。

 いや、だから、その目が苦手なんですってば、とあやめは思っていた。

 この人、目を合わせないか、犯人を陥落(かんらく)させようとする刑事のような目で見つめてくるかの、どっちかなんだもんなー。

 緊張してきたあやめは、その緊張感を誤魔化すように、紅茶をごくりと飲んでみた。

 しかし、犯人か。

 そういえば、専務のこれは、産業スパイを詰問しようとしているときの目だな、と気づく。

 いやいやいや。
 私、スパイじゃなくて、あなたの許嫁だったんですけど……。

 っていうか、私より、スパイっぽい人があなたの後ろに控えてますけど、
とあやめは基の後ろに立つ高倉を見た。

 高倉は、まだ呑んでいた基のために、ワインを注ごうとして、背後に立ったようだが、ワインの瓶口が銃口にしか見えない。
< 241 / 568 >

この作品をシェア

pagetop