100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
今日もデザートまで大満足の夕食だった。
美味しいものを食べると、それまでのことをすっかり忘れて、幸せになるあやめは、
いや~、満足満足、と紅茶を飲んでいて、基と目が合った。
じっとまっすぐに、そらすことなく、見つめてくる。
いや、だから、その目が苦手なんですってば、とあやめは思っていた。
この人、目を合わせないか、犯人を陥落させようとする刑事のような目で見つめてくるかの、どっちかなんだもんなー。
緊張してきたあやめは、その緊張感を誤魔化すように、紅茶をごくりと飲んでみた。
しかし、犯人か。
そういえば、専務のこれは、産業スパイを詰問しようとしているときの目だな、と気づく。
いやいやいや。
私、スパイじゃなくて、あなたの許嫁だったんですけど……。
っていうか、私より、スパイっぽい人があなたの後ろに控えてますけど、
とあやめは基の後ろに立つ高倉を見た。
高倉は、まだ呑んでいた基のために、ワインを注ごうとして、背後に立ったようだが、ワインの瓶口が銃口にしか見えない。