100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
 何故かモノクロの古い映画を高倉は選んでいた。

 スクリーンを見ながら、基は白状する。

「実は途中から疑ってはいたんだ。

 だが、そう疑ってしまうのは、自分があやめが許嫁だといいなと思う心のせいかと思い、自制していた。

 まあ、別に言ってもよかったな。

 お前が許嫁だろうと、そうでなかろうと……」
と言いかけ、基は言葉を止めた。

 どちらにしろ、あまり、あやめにとっては関係なさそうだ、と思ったからだ。

 許嫁だからといって、特別扱いしてくれるわけではないらしく。

 そうか、お前が許嫁か、そうなんです、とラブラブになれるわけでもないらしい。

 あやめは、あくまでも冷静だ。

 冷静に自分の結婚相手を見極めようとしている――。

 ちなみに、こちらは冷静ではない。
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