100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
「ともかく、私は気にします。
 外に置いておいてください」
と言うと、高倉は、そうですか、と引き下がったあとで、

「ああ、私は部屋に入れてくださらなくてもいいんですけど。
 もし、夜中に、基様が喉が乾いたと言って来たら、入れてあげてくださいね」
と言ってくる。

「……何故ですか?」

「あやめ様の部屋にしか、ドリンクバーがないからです」

「高倉さんが飲み物持ってってあげればいいじゃないですか」

「いや、持って行きません」

 この屋敷の主人なのにか……。

「哀れに思うのなら、入れてあげてください。

 ま、自分ちの冷蔵庫が何処にあって、どれ飲んでいいのかもわからないような男は、夫として、どうかと思いますけどね」

 じゃ、と高倉は、

 いや、あなた、専務の味方なんですか、敵なんですか、
と思うようなことを言い置いて、去っていった。


< 254 / 568 >

この作品をシェア

pagetop