100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
 



 昼休みが終わり、あやめは専務室横の秘書室に戻ろうと絨毯で音がしない廊下を歩いていた。

 すると、さりげなく、なにかを受け渡そうとするスパイのように、すっと横に並んできたものが居た。

 内藤だった。

「専務と旅行に行ったのか」
と訊いてくる。

「そう。
 お土産、どうだった?」
と訊くと、

「土産にしては美味かった」
と前を見たまま内藤は言ってきた。

 ……そう言いたくなるの、ちょっとわかる気がする、とあやめは思っていた。

 会社で配るのにちょうどいい観光地の土産はやはり、数がたくさん入っていて、小包装のものだが。

 何処の土産も、ちょっと印刷してある地名や観光施設名を変えてみました、みたいな感じで、どれでも中身は同じ、ということもあるからだ。
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