100-3は? ~なにもかも秘密な関係~
「はい、お呼びですか」
と案の定、すぐに高倉が現れる。

 あやめはグラスを持ったまま、高倉を蛇口の前に手招きし、叫んだ。

「これ、いいですっ。
 ドリンクバーと同じことなんですけど。

 でも、蛇口ひねったら、ジュースが出てくるのって子どもの頃からの夢だったんですよっ」

「私もです」
と落ち着いた笑顔で、高倉は言ってきた。

「ありがとうございますっ、高倉さんっ」
と手を取り、言うと、

「あやめ様にお喜びいただけて嬉しいです。
 私も子どもの頃の夢が叶えられた思いです。

 あやめ様は私が小学生の頃、夢見ていたようなことをやってみると、非常にお喜びくださるので、とても楽しいです」

 ……ん?
 ちょっと引っかかるぞ、と高倉の手をつかんだまま、あやめは思っていた。

 それは、私を喜ばすのは、小学生を喜ばすのと同程度の発想でいいと言うことだろうか。
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